企業ブランディングを行う目的と効果
冒頭でもご紹介したように、企業のブランド価値は「従業員」「文化」「伝統」「価値観」などの多くの要素から構成されています。これらの価値を一つひとつ最大化させていき、ステークホルダー(株主、経営者、従業員、顧客、取引先など)を中心に「自社の社会的イメージ」を確立させていくことが企業ブランディングの目的となります。
企業に対するイメージは、サービス(製品)を経験した顧客によって、およそ限られた方向に形作られて行きますが、そのイメージが必ずしも企業が意図するものと一致しているとは限りません。たとえば、「自社が開発したサービス(製品)を販売店が流通させる」などの場合、顧客がコミュニケーションを行う相手は販売店であるため、自社のブランド価値は顧客には伝わりにくいでしょう。もし、顧客に対して自社の認知度を高めて行くのならば、企業ブランディングを通して自社が意図する「自社の社会的イメージ」を顧客をはじめとするステークホルダーに浸透させていく必要があります。
企業ブランディングの進め方
それでは、実際に企業ブランディングを進めていく場合、どのような手順で進めていけば良いのでしょうか。ここからは、主な5つの進め方を詳しく見ていきましょう。
1.自社の現状を把握する
企業ブランディングを行うにあたり、最初に行うべきことは「自社の特性、実績などをより詳細に把握すること」です。たとえば、自社で取り扱っているサービス(製品)はもちろんのこと、顧客や流通経路といった全体像を把握することが重要です。また、その市場における自社の立ち位置についても把握していく必要があるでしょう。このように自社を客観的に見つめ直すことによって、目指すべきブランドの方向性が明確化するでしょう。なお、自社の現状を把握するための調査として、次の2つが挙げられます。
- ビジネスオーディット(事業展開状況調査):自社の現状のビジネスを対象として行う。
- デザインオーディット(デザイン展開状況調査):顧客との接点に用いられるツールを対象として行う。
これらを調査することによって、自社のブランドが現時点でどのように浸透しているのか、ユーザーにどれくらい認知されているのか、といった疑問点が明確化します。多くの時間を要する調査になるため、自社の負担を軽減させるとともに、より客観的に現状を把握できるブランディング専門会社に調査を依頼するのも一つの手段です。
2.ブランドの定義を明確化する
前述の調査を行うことによって、自社の強みとなる部分が少しずつ明確になってきます。調査の結果を踏まえ、ステークホルダーに対して伝えていくべき自社の強みを吟味しながらコンセプトを作ることが、この段階で行う主な作業となります。決して経営者やブランディング担当者の趣味嗜好だけで目指すべきブランド像を定めるのではなく、自社がステークホルダーから期待されていることをイメージし、自社の強みが明確に伝わるようにブランドを定義していくことが重要です。
3.ブランドの戦略を立案する
ブランドが定義されたら、それをどのように伝えていくかを計画します。たとえば、顧客には「年齢層別にワーディングされたWeb媒体向けのコンテンツによって間接的にアプローチする」、取引先には「ウェビナーなどによってオンラインで直接的にアプローチする」など、ステークホルダーごとに戦略を立案します。
4.ブランディングツールを開発する
ブランディングツールとは、目指すべきブランド像を表現するために使用する「Webサイト(ホームページ)」や「カタログ・リーフレット」、さらには「企業のロゴ」といった制作物のことです。これらの制作物にもブランドの定義や戦略を一貫して引き継がなければ、適切に伝わらない可能性がありますので、制作物に関わる関係者には「1」~「3」の情報を十分に共有することをおすすめします。
5.ブランドを運用する
ブランディングがスタートすると、運用の課題が見えてくるでしょう。たとえば、企業のロゴ一つ取っても、Webサイトやサービス(製品)のカタログ、会社案内の資料など、さまざまな媒体で使用されていますので統一する必要があるでしょう。また、顧客との接点が多い営業担当者はもちろん、人事採用担当やカスタマーサポートなど、企業が一体となってブランドに沿って行動することも重要です。
企業ブランディングで重要なポイント
企業ブランディングを進めていく上で「自社がどのようなフェーズなのか」という現在の立ち位置を把握することは極めて重要となります。時代の変化とともにステークホルダーの価値観も変わりますので、ブランディングの方向性を改善したり、「リブランディング」などと呼ばれる再構築を行ったりすることも視野に入れておく必要があります。
また、外部要因のみではなく、社長の代替わりのタイミングや、主要なプロダクトの運営者が変わるタイミングなどは、ブランディングを冷静に見つめ直すチャンスとも言えます。たとえば、新社長の就任にあわせてキャッチコピー(コーポレートメッセージ)などを刷新し、新しいイメージを浸透させることに成功させた企業も多いでしょう。
このような従来からのブランディングを修正・変更することは多大な労力や人員・コストを必要とする場合も考えられますが、タイミングを逃してしまうと、ブランディング効果が薄れてしまう可能性も否めません。柔軟に対応できる体制を整え、定期的に社会、あるいは時代の変化と自社のブランディングが適合しているのかを見つめながら、ブランドを育てていく姿勢が重要なのです。
まとめ
今回は、企業ブランディングの目的や効果、進め方などを詳しくご紹介しました。企業ブランディングは多くの要素で構成されているため、差別化を図りやすいこと。そして、自社の立ち位置を客観的に把握した上でアピール方法を検討していくことの重要性について、お分かりいただけたのではないでしょうか。
とはいえ、ブランディングやマーケティングの専門知識を持ち合わせていない企業の場合、どのような戦略で企業ブランディングを進めていけば良いのか分からずに悩んでしまうこともあるかもしれません。そのような場合には、専門知識を持つ企業のサポートを受けながら、施策を講じていくのも一つの手段です。
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