消費者行動(購買プロセス)の変化
コンテンツマーケティングを通じて「顧客のファン化」を実現するためには、現代の消費者行動について正しく理解しておくことが大切になります。特に近年は、インターネットが普及したことによって、さまざまな情報を簡単に入手できるようになりました。そのため、消費者行動(購買プロセス)にも変化が生まれ始めているのです。
その変化に伴い、近年は、購買に至る前にインターネットでリサーチを行う消費者行動の「ZMOT(Zero Moment of Truth)」がマーケティングに多用され始めています。近年はサービス(製品)の購入を検討する際、顧客が自ら情報収集を行い、収集した情報をもとに検討を行った上で、実店舗に足を運んだりWebサイトの販売ページにアクセスしたりするようになりました。
しかし、このZMOTという消費者行動はあくまでも大枠に過ぎません。消費者行動というのは「消費者の購買プロセス」に当たるものであり、この購買プロセスの変化こそが、コンテンツマーケティングの根幹なのです。
従来からマーケティングにおいて利用されていたのは「AIDMAの法則」という消費者行動のモデルでした。この法則は、消費者の行動を「Attention(認知)「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「 Memory(記憶)」「Action(行動)」という5つのステップに分解したモデルのことです。ただ、インターネットが普及したことで、消費者行動にも大きな変化が生まれ始めました。それが、先ほどご紹介した「ZMOT」や、株式会社電通が提唱した「AISAS」です。
「AISAS」とは、「Attention(認知)」「Interest(関心)」「Search(検索)」「Action(行動)」「Share(共有)」という5つの行動を表したモデルであり、購買行動を起こす前にインターネットで検索を行う点、そして購入後に体験や感想をSNSなどで共有する点が大きな特徴となっています。
また、電通社はコンテンツマーケティングが主流となった現代の消費者行動モデルとして「DECAXの法則」も提唱しています。この法則は、「Discovery(発見)」「Engage(関係作り)」「Check(確認)」「Action(行動)」「experience(体験・共有)」という5つの段階を表したモデルであり、ユーザー自身の能動的なアクション(行動)で構成されている点が大きな特徴です。
このようにユーザー自身の行動が起点となって、情報を収集しながら「サービス(製品)の価値」を判断し、気に入ったサービス(製品)の購買という行動を起こし、その体験をSNS等でシェアしていくことで拡散されていきます。こういった、購買プロセスに合わせてユーザーと段階的に関係を深め、購買につなげていく手法を理解することは、コンテンツマーケティングを実行する上で必要不可欠といえるでしょう。
見込み顧客獲得に欠かせない「ペルソナ設計」
コンテンツマーケティングに取り組む際は、社内で「理想の顧客」のイメージを共有しておくことが大切になります。それぞれが異なるイメージを持っていた場合、アプローチの方向性にズレが生じてしまう可能性があるからです。そのような失敗を避けるためにも、社内で常にイメージを共有しなければなりません。
そのイメージの共有を実現するための方法として有効なのが、ペルソナ設計です。ペルソナは、ターゲットとなるユーザーの人物像を詳細に記載したものであり、ペルソナを用意することでターゲットを「人格を持った人物」として具体的に把握できるようになります。
では、ペルソナに盛り込む情報としては、どのような要素が適切なのでしょうか。たとえば、性格、性別、趣味、家族構成など、ペルソナはその気になればいくらでも盛り込むことができるため、ある程度情報を絞り込む作業が必要になります。ペルソナ設計の方法は複数存在するため、一概にどれが正しいと断定することはできませんが、有効な方法のひとつとして挙げられるのが、「ターゲット層の共通点を盛り込んでいく」という方法です。
また、ペルソナ設計において、性別や年齢といった属性情報を盛り込むことも重要ですが、それ以上に「ターゲット層のニーズを明確にするための共通点」が重要な要素となります。そのため、具体的には以下のような要素を盛り込んでいくと、理想の顧客をイメージしやすくなるでしょう。
1.日常生活のシナリオ
ターゲットがどのような日常生活を送っているのか、そのシナリオを記述することで、ユーザー目線で物事を考えやすくなります。ただ、必ずしもすべてのペルソナ設計においてシナリオ記述が必要になるわけではありません。BtoBのペルソナであれば、企業の担当者の日常生活を描くのではなく、ターゲットとなる企業のニーズを鮮明にするための要素を盛り込むことが有効的です。
2.具体的な目的
ターゲットが達成したい目的を明確にすることで、ターゲットを手助けするためのコンテンツは何か、洗い出しやすくなります。ただ、ターゲットの目的は「売上をアップしたい」といった漠然としたものではなく、売上アップにつながる具体的な手段など、明確なものに落とし込んだほうが良いでしょう。
3.抱えている課題
目的と同じように、課題を具体的に書き出していくことで、その課題を解決するための方法について考えやすくなります。課題の解決策を分かりやすく提示するためにも、重要な要素といえるでしょう。
4.購入障壁
企業によっては、何かしらの障壁によって購買(契約)を踏みとどまっているというケースも存在します。そういった障壁を理解し、適切なアプローチを行うためにも、購買を妨げている要因を購買ステップごとに洗い出していくことが大切です。
5.購入までの間に生じる疑問
「なぜこのサービス(製品)が自社にとって必要なのか」「この目的を達成するには、どのような問題を解決すべきなのか」など、購入までに生じるであろう疑問を具体的に書き出します。その疑問を繋いでいくことによって、ひとつの購買ストーリーを作り上げられるでしょう。
6.頻繁に使用する検索キーワード
サービス名、製品名といった直接的なキーワードだけでなく、一般的な疑問に関わるキーワードも洗い出していくことで、より適切なコンテンツを制作できるようになります。ターゲットとの会話の中から、有効なキーワードを探っていくのも効果的といえるでしょう。
7.購買(成約)までのシナリオ
ターゲットが購買に至るまでのシナリオを鮮明にすることで、より適切なコンテンツを制作しやすくなります。購買に至るまでの間、ターゲットがどのような疑問を抱きながら行動したのかを理解しておけば、その疑問を解消するコンテンツによってターゲットとの信頼関係を構築しやすくなるでしょう。
コンテンツマーケティングで「ファン化」を実現するための方法
コンテンツマーケティングで「ファン化」を実現するには、ここまでご紹介したペルソナ設計を踏まえた上で、有益なコンテンツを制作することが大切になります。しかし、ペルソナのニーズを満たす情報であれば何でも良いというわけではありません。ファン化を実現するためには、ユーザーを惹きつける記事構成でなければならないからです。
たとえば、曖昧な主張ばかりが繰り返されているコンテンツには、説得力を感じられません。曖昧な主張によって、ユーザーからの信頼を得られる可能性は低いので、明確に主張することが大切といえます。
とはいえ、ユーザーに納得してもらえる主張でなければ、反感を買う可能性も高まりますので、主張と併せて根拠もしっかりと記載することが重要です。たとえば、「A動物園よりもB動物園のほうがおすすめ」という主張の場合、人によっては「A動物園のほうが良いじゃないか!」と感じることもあるでしょう。これは、「B動物園のほうがおすすめ」という主張の根拠が欠けているからに他なりません。しかし、「A動物園はペンギンの数が日本で最も多いので、ペンギンをたくさん見たい人にはB動物園よりもA動物園がおすすめ」といった主張であれば、その主張の根拠が示されているため、ユーザーに納得してもらえる可能性も高まるのです。
説得力に欠けるコンテンツは、ユーザーの満足度を高めたり、ユーザーからの信頼を獲得したりすることが難しいので、ユーザーのニーズを満たす情報を「説得力のある文章」で伝えていくことをおすすめします。
まとめ
今回は、コンテンツマーケティングに欠かせない「見込み顧客獲得・ファン化」の方法についてご紹介しました。ペルソナ設計において「ターゲット層の共通点」を盛り込むことの重要性、そして「説得力のある文章」によってユーザーを惹きつけることの重要性について、お分かりいただけたのではないでしょうか。ぜひ、今回ご紹介したポイントを参考にしながら、見込み顧客獲得・ファン化を実現するためのコンテンツを制作してみてはいかがでしょうか。
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