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2016/09/28

失敗しないWebリニューアル 後編

Webリニューアルの見積・提案依頼時のコツ

MA(マーケティングオートメーション)、コンテンツマーケティング、インバウンドマーケティング・・・ BtoB企業販促において、これらの活動に注目が集まっていますが、まだその前の段階、「そもそもWebサイトが・・・」とお悩みの声を多く耳にします。

今回は、”BtoB 企業販促”の観点から、『Webサイト リニューアルのコツ』についてお話しします。

「前編」はコチラ

はじめに

制作会社の立場としては、「とにかく現状サイトを見て、プロの視点で改善提案してください。予算も相場が分からないのでとりあえず見積ください」と言われるのがいちばん困ります
なにを決めておかないとわからないからとりあえず相談してみる、という気持ちもわかりますが、前回の、

「①なにがきっかけでやりたくて②なにを目的としていて③誰を対象と考えていて④いま、ここが問題と思っています」

については最低限、依頼元である皆様の社内で検討して、コンセンサスが得られていないと、制作会社側としても、ものすごく広範囲の提案=高い見積を出さざるを得なくなり、依頼される皆さまにとって不利益になってしまうのです。

今回は、前回の①~④以外に、見積時のコストのパラメータになる項目について、お話しします。

サイト上のコンテンツの棚卸しと新規制作について

リニューアルの機会に、現状サイトのコンテンツを整理して古いものは削除、必要なものは新規追加したい(棚卸ししたい)というお話がほとんどですが、実はこの「やり方」と「役割分担」でコストが大きく変わります
「棚卸作業」は、現状のサイトにある全コンテンツの要・不要の見極めです。

・サイトマップ(コンテンツ一覧表)を作成→関係部署に締め切りを設けて要・不要を回答させる

という作業で、現状のサイトページが多ければ多い程、かなりの工数が発生します。ここが社内でできるとコストは軽減されますが、アウトソースすると当然、コストが発生しますので、社内で対応可能かどうか、確認しておきましょう。

「新規コンテンツ追加」については、いま掲載されていない情報を追加するのを自前でやるか、アウトソースするか、というお話です。
取材~新規ライティング+構成をプロにアウトソースすると当然コストがかかりますが、その分、第三者(プロ)の目で見直しやボリュームの統一が図られるため、クオリティやその後の効果は高いものになります。(専門性の高いBtoBサイトでは、制作者の知識やスキルレベルの見極めも重要です)

一方、ここを社内で対応するとコストは大きくセーブできますが、社内負荷が高くスケジュールが遅延したり、クオリティも社内対応者のスキルにより、バラバラになるリスクがあります。
この2点は「本来の目的」「社内のリソース」「予算」との兼ね合いで慎重に決めましょう。

CMS導入の要・不要

前回の ③現状の課題(ボトルネック)を見極める のところで、サイト更新頻度が課題→CMS導入が必要!となりがちですが、CMSを入れれば更新頻度が上がるとは限りません。

”更新対応リソースが社内で継続して確保できるか”がポイントです。

事実、「CMSはあるけど、対応していた人が退職して塩漬け状態」「社員が各自で更新して統制が取れずにサイトが壊れた」というご相談は後を絶ちません。
Webは構築して終わりではなく、継続した運用がポイントです。しかし、自前にこだわりCMSを導入するとなると、初期構築時にコストがかかります。
将来的に社内のCMS運用リソース確保が難しいようであれば、CMSにこだわらず、公開後の運用のアウトソースと、その料金についても確認、検討することをおススメします。

*CMS・・・・Contents Management System HTMLやCSSの知識が必要なくてもWebサイトのコンテンツを作成・管理できる仕組み。MovableTypeやWordPress、Concrete5といったOSSタイプから有償版までさまざま。

公開時のURL

公開時のURLは現状のままでいくのか、この機会に変えるのか、も重要なポイントです。

リニューアルであれば既存のまま変更しない方が、SEO対策的には圧倒的に有利です。が、サイト更新に伴いディレクトリやページ個別のURLが変わりますので、リダイレクト作業を見積に含めるよう指示しないと、後から追加費用でモメるもとになりますので注意しましょう。

*リダイレクト・・・・サイトにアクセスしようとしたユーザーを、最初にリクエストされた URL とは別の URL に移動させること。SEOを行う上でよく用いられるのは301リダイレクト。

サーバ環境

サーバ環境をリニューアル提案の対象範囲とするのかどうかは明確にしましょう。

A)いまのインフラをそのまま利用する
・・・外部からの管理権限でのアクセス可能な事とアプリケーションの必要バージョンがインストール可能であることが条件

B)この機会に更改して提案を希望する
・・・どのくらいのセキュリティ、バックアップレベルを求めるか、付き合いのあるベンダーや指定DCなどがあるかを指示

レスポンシブ対応について

前回もお話しした通り、BtoB Webサイトにおいても、アクセス率が増加、SEO対策的にもスマートフォン対応は無視できない状況になっています。ですので、いまからのリニューアルでスマートフォン対応をしない、という選択肢は正直、オススメしません。

しかし、一口にスマートフォン対応といってもやり方がいくつかあります。
かつてはPCサイトからの移行、ということで2.のUAによる表示の出し分け型が一般的でしたが、現在は3.のレスポンシブデザインが主流です。グローバル企業、国内でも大手企業はほぼ、このやり方でサイトリニューアルを行っています。

更新が一度で済み、Googleが推奨しているためSEO対策にも有効で、またSNSのシェアにも向いているとよいことだらけのようですが、一点だけ注意が必要です。
それは、かつてのPCサイトのようなデザインやレイアウトに自由度がない事です。

レスポンシブデザインでの制作はかつての「PCサイトをスマホ用に移行」ではなく、「画面サイズによって自動的にレイアウトが変わる仕組み」ともいえます。そのため、従来のようなページ毎に異なるページレイアウトや、段組みによる複雑な構成ではなく、シンプルに縦横にBOXが並んでいる(画面サイズが狭くなると縦一列に並ぶ)イメージになります。

1.スマホ専用サイトを作る(別URL)

PCサイトとは別にスマホ用やタブレット用サイトをつくるやり方です。

メリット

PC向けとスマホ向けでデザインをそれぞれの環境に最適化できる

デメリット

HTML/CSSが完全に独立した別物のため更新時に2倍の工数がかかる
URLが異なるため流入が分散しSEO対策やSNSシェアには不向き

2. スマホ専用サイトを作る(同一URL)

1とほぼ同じですがこちらはURLが同一で、UA(ユーザーエージェント)を判別して表示内容を振り分けるやり方です。サーバーサイド(PHPなど)、クライアンサイド(JavaScriptなど)またはApacheのhtaccessなどを用いて対応します。

メリット

PC向けのデザインとモバイル向けのデザインをそれぞれに適応したものにできる
SEO対策やSNSによるシェアに強い

デメリット

URLが同じでも呼び出しているソースは別々なので、両方のHTMLを更新しなければならない
コーデイングとは別にプログラミングの要がある

3. レスポンシブデザインで構築する(同一URL)

CSS3のメディアクエリを利用し、デバイス(ディスプレイサイズ)ごとに異なるCSSを適用させるやり方です。

メリット

HTMLが同一なため1度の更新でPC向け/スマホ向けの両方が完了
SEO対策やSNSによるシェアに強い(Googleが推奨)

デメリット

ページの表示に時間がかかる場合がある
スマホ向け表示の関係でPCサイトのデザインに制限がある

集客について

せっかくWebサイトをリニューアルしても、訪問者が少ないままでは効果は出ません。
前回の「③現状の課題(ボトルネック)を見極める」において、

A)そもそもアクセス数が少ない
という課題がある場合は、

  • サイト構築時にSEO対策を実施する

のは当然のこととして、追加コストにはなりますが、

  • SEOを意識してblogコンテンツを用意する(オウンドメディア)
  • リスティング広告を実施する
  • FacebookやYoutubeなどのSNSの活用(ADも含め)

といった対策についても、予算確保の検討をしておきましょう。

目標値の設定

最後に、これは見積時のパラメータとは異なりますが、目標数値の設定も重要なポイントです。

前号でご説明した通り、「Webからの確度の高い問い合わせ(リード)を増やす」ことを前提とするならば、当然

  • 現状のWebからの問い合わせの数、確度

が基準になります。これ以外に、

  • 資料請求の数
  • セミナー申し込み数

などの現状の数値は、最低限確認しておくことが必要になります。

まとめ

BtoB販促の視点から、Webサイト リニューアルの考え方、見積提案依頼時のコツをお伝えして来ました。

Webサイトリニューアルは積年の課題である企業も多いため、いざ実施となると社内でさまざまな声が上がり、収拾がつかなくなるケースも珍しくありません。

これらを参考に、効率的に、効果的なWebサイト リニューアルを実施してください!

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